『新・仁義なき戦い。』
mainpicture 2000年11月25日より全国東映系にてロードショー

2000年/日本/1時間49分
◇監督:阪本順治 ◇企画:黒澤満、松田仁 ◇プロデューサー:厨子稔雄、豊島泉、椎井友紀子 ◇企画協力:山之内幸夫 ◇原作:飯干晃一(角川文庫刊) ◇脚本:高田広治 ◇撮影:笠松則通 ◇照明:杉本崇 ◇録音:立石良二 ◇美術:秋好康海 ◇編集:荒木健夫 ◇記録:森村幸子 ◇スチール:佐藤俊一 ◇進行主任:佐藤鋼太 ◇音楽監督:布袋寅泰
東映京都作品/配給:東映

◇キャスト:豊川悦司、布袋寅泰、村上淳、小沢仁志、松重豊、大和武士、哀川翔、織本順吉、曽根晴美、志賀勝、佐川満男、早乙女愛、余貴美子、岸部一徳、佐藤浩市



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【解説】

前シリーズから21年!阪本順治監督の剛腕がこの男たちを弾けさせた。

現在ヤクザ映画の原点として一大エポックとなった―あの『仁義なき戦い』がイメージを一新、衝撃の人間ドラマとして2000年秋のスクリーンに甦る。これはまさしく日本映画界の今の今を揺さぶるエキサイティングな事件と言えるだろう。1970年代の映画界に大反響を巻き起こした傑作シリーズから実に21年。舞台を広島から大阪に移し、実際に関西地区で起きた抗争事件をベースに、凄まじい暴力の世界に生きるヤクザ群像とその生きざまをドラマチックに映像化した野心作である。
関西大手暴力団の跡目争いの真っ只中、その渦中で30年ぶりに向かい合う幼馴染みの男二人。かつての11歳の少年は、一人は大暴力団傘下の幹部に、もう一人はコリアン実業家になって再会。否応なく抗争に呑み込まれて行く。二人の生き様の違いが生むドラマチックな展開。ヤクザ社会に限らず、一般企業内でも「組織」と名の付く所には、常に「仁義なき戦い」が繰り返されている。ここに描く男たちの世界は、現代サラリーマンの姿と見事にダブって、強烈な現実感を打ち出している。そして同時に大暴力組織の人間たちの、欲得ずくの虚々実々の駆け引き、権力抗争の生々しさ。二転三転する状況変化の末、最後にほくそ笑むのは果たして誰!といったドラマ感が興味満点。




監督は、独自の映画手法で評価の高い阪本順治が、『どついたるねん』『鉄拳』『ビリケン』『傷だらけの天使』『顔』等に次いで手腕を発揮した一作。今、最も脂の乗っている阪本監督のもとに、豊川悦司、布袋寅泰、佐藤浩市、岸部一徳、哀川翔、村上淳、小沢仁志、大和武士、松重豊などの個性派演技陣が結集したキャスティングも大きな話題。まさしく阪本一家総出演による、リアルと凄みが各場面に恐ろしいまでの緊張感を打ち出している。さらにもう一つの注目は、世界的ギタリスト・布袋寅泰の音楽監督担当。あの深作版『仁義なき戦い』の名テーマ曲をベースにした斬新アレンジ、そして新たに書き下ろした『新・仁義なき戦い』のテーマ曲など、バージョンの数々。その強烈なテーマが男たちの<心の揺らぎ>と<血肉>を鋭くえぐっている。
2000年・秋、日本映画最大の話題作として、早くも大きな期待と注目を集めている。




 


【ストーリー】

誰のために死ねる、誰のために生きる。

真っ黒い煙を吐くコンビナートがいつも目の前にあった。幼いころから西大阪の貧民街で育った少年ふたり。甲子男(カネオ)と昌龍(在日韓国人・のちの栃野昌龍)は11歳の時、ヤクザを一人殺していた。実際に手を下したのは昌龍だった。昌龍の貧しい父親が、借金の取り立てに来たヤクザに手ひどくいたぶられた、その仕返しだった。
そしてそれから30年。
門谷甲子男は、大暴力団・左橋組の傘下、粟野組の幹部になっていた。折しもこの左橋組は三代目・松井和久が跡目を決めぬうちに急死したため組内が大揺れに揺れていた。ナンバー2の若頭・溝口は病気と老齢を理由に早々に辞退。そのため三番手の若頭補佐・粟野に四代目の大役が舞い込む形成となった。然し、若頭補佐の一人でクールな若手実力者、中平が密かに跡目を狙っている。この中平の野望に早くも組みする若い幹部らの動きもあった。門谷は、一日も早く粟野が四代目の座におさまる事を夢見て大いに気張った。同じ頃、この大阪でコリアン実業家として、手広くビジネスを張る男がいた。それは門谷の幼馴染み、栃野昌龍だった。栃野は韓秀国を忠実な右腕として、今日を築いてきた。その商売のスゴ腕に目をつけたのが中平、そして兄弟分の斎木だった。だが、栃野は徹底したヤクザ嫌いの男。中平らの誘いをにべもなく突っぱねた。家族と商売と仲間を大切にする寡黙な栃野。門谷はそんな栃野の動きを注視した。





四代目を完全に視野に入れ、古い体質を持つ左橋組の若返りを企てる中平勢はいよいよ結束を固め、現金を使った票固めに打って出た。一方、四代目の最短距離にいる粟野は、いつもどこか煮え切らない言動、左橋の組長代行・宮松や粟野の若頭・篠崎をイライラさせていた。そんな折りも折り、門谷の子分らが京都小木戸会のヤクザに襲撃された。小木戸会と言えば中平の兄弟分にあたる組織。これは中平の指図なのか…。票集め、資金集めのため栃野に接近する中平。その中平の動向を探る門谷は、中平に恨みを持つクスリ漬けのヤクザ遠山を突っついた。遠山は中平の代わりに長くムショに入っていた男だった。跡目をめぐる組内の暗闘下、門谷組の子分が小木戸のヤクザを刺殺し、警察の目を引き込んだとして門谷がその責を問われた。門谷はいきなり小指を詰めると席を蹴った。 「抗争が始まったんじゃ!」
肝心の粟野が曖昧、そして門谷の暴走。これを機に宮松篠崎らは一斉に中平側に鞍替えした。左橋組の跡目相続はかくて中平一本に絞られた。こうして粟野はツメ腹を切らされ、門谷は命を狙われることになった。その頃、門谷の子分・鉄雄がひそかにチャカを懐に中平をつけ狙った。
関西随一の高級ホテル・ロビー。粟野との最終決着をつけるべく、ソファーに身を沈めて待つ中平勢。そしてそこに栃野と秀国の姿も…そしてさらにチャカを手にした門谷が殺気そのものとなって入ってきた……!門谷と栃野の目と目がガチッと合った。その瞬間、絶叫しながら鉄雄が飛び込んできて、磨き抜かれたロビーはたちまち流血の場となった―!