『X-メン』/"X-MEN"
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X-MEN <特別編> [DVD]
X-MEN2 [DVD]
X-MEN:ファイナルディシジョン 特別編 [DVD] |
10月7日より、日本劇場ほか全国東宝洋画系にて公開

2000年/アメリカ/シネマスコープ/ドルビーSR・SRD,DTS,SDDS/1時間44分/字幕スーパー翻訳:戸田奈津子
(C)2000 TWENTIETH CENTURY FOX

◇監督:ブライアン・シンガー ◇製作:ローレン・シュラー・ドナー、ラルフ・ウィンター ◇脚本:デイビッド・ハイター ◇製作総指揮:アヴィ・アラド、スタン・リー、リチャード・ドナー、トム・デサント ◇撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル ◇プロダクション・デザイナー:ジョン・マイヤー ◇編集:スティーブン・ローゼンブラム、ケビン・スティット、ジョン・ライト、A.C.E. ◇共同製作:ジョエル・サイモン、ウィリアム・S・トッドマン.JR. ◇視覚効果スーパーバイザー:マイケル・フィンク ◇特殊メーキャップ・デザイン:ゴードン・スミス ◇音楽:マイケル・ケイメン ◇衣裳デザイナー:ルイース・ミンゲンバック

◇キャスト:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、イアン・マッケラン、ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・マーズデン、ハル・ベリー、アンナ・パキン、タイラー・メイン、レイ・パーク、レベッカ・ローミン=ステイモス、ブルース・デイビソン



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【解説】

1963年9月、スタン・リー(ストーリー)とジャック・カービー(作画)の2大巨匠によって誕生し、それ以降、40年近く不動の人気を誇ってきた「X-メン」。創刊以来4億冊以上を売り上げ、過去17年間一貫してベストセラーのトップに君臨し、コミックス史上最大のメガヒット作、それが「X-メン」である。アメリカ文化の一部になっているばかりでなく、25の言語に翻訳され、世界75カ国で販売されて、世界的ブランドといえる「X-メン」が、ついに映画化された!
社会から追放されたミュータントたち。彼らは“アトムの子ら”、ホモ・サピエンスから進化した次の種族、ホモ・スペリオール(超人類)だった。彼ら全員が、遺伝子の突然変異により超人的パワーをもち、その特殊能力ゆえに、社会から拒絶されたのだ。やがて、プロフェッサーXによって組織されたミュータント・チーム、X-メンは、善のために生まれながらの特殊能力を役立たせる方法を身につけるが、命がけで守っている人類が、自分たちの存在を拒絶し、忌み嫌っているのに気付く。社会のミュータントに対する偏見と耐え難い処遇と戦いながら、X-メンは人類とミュータントとが和平共存する世界の実現を最終目的にしていた。そして今、X-メン対悪のミュータント組織との人類の存亡を賭けた壮絶な超能力バトルの火蓋が切られる!

従来のスーパーヒーロー映画とはまったく異なる、驚異のスーパーヒーロー映画。善と悪との壮大なスケールの神話的な戦いを描きながらも、現代の若者から圧倒的な共感を寄せられる物語展開。『タイタニック』のデジタル・ドメインをはじめ、ハリウッドSFX工房数社の最新技術を結集し、『マトリックス』を超える斬新なVFX映像による息をもつかせぬ迫真の超能力バトルが繰り広げられる。人類の次の進化を象徴する『X-メン』は、新世紀スーパーヒーロー・アクション映画への進化をしるす事件となる!





この超大作を監督するのは、『ユージュアル・サスペクツ』『ゴールデン・ボーイ』の鬼才ブライアン・シンガー。製作は『エニイ・ギブン・サンデー』のローレン・シュラー・ドナーと『マイティ・ジョー』のラルフ・ウィンター。脚本はブライアン・シンガーと製作総指揮のトム・デサントのオリジナル・ストーリーを基に、新鋭デイビッド・ハイターが執筆。撮影は『ユージュアル・サスペクツ』のニュートン・トーマス・シーゲル、プロダクション・デザイナーは『エリザベス』でアカデミー賞候補となったジョン・マイヤー、衣裳デザインは『ゴールデン・ボーイ』のルイーズ・ミンゲンバック。VFXスーパーバイザーは『バッドマン・リターンズ』のマイケル・フィンク、スーパーヒーローたちの特殊メイクのスーパーバイザーは『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』のゴードン・スミス、そして音楽は『アイアン・ジャイアント』の大ベテランのマイケル・ケイメン。
出演は、本作がハリウッド・デビューになるオーストラリア出身のヒュー・ジャックマン、『洗脳』のジェームズ・マーズデンのニュー・フェイスをはじめ、TV「新スター・トレック」のピカード艦長でおなじみのパトリック・スチュワート、『ゴッドandモンスター』のイアン・マッケラン、『007/ゴールデンアイ』のファムケ・ヤンセン、『エグゼクティブ・デシジョン』のハル・ベリー、『ピアノ・レッスン』のアンナ・パキン、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のレイ・パーク、スーパーモデル出身のレベッカ・ローミン=ステイモス、元プロレスラーのタイラー・メインと絶妙のキャスティングである。




 


【ストーリー】

◆敵は強大 味方はわずか

ミュータント。憎悪と偏見が蔓延する世界では、彼らは科学の変種、自然の奇形種とみなされ、彼らの特異性を受け入れたり、彼らの運命を理解できない人間たちから、恐れられ忌み嫌われるアウトサイダーにならざるを得なかった。彼らを必要以上に敵視する者の中には、極端な弾圧的戦略と法律で、すべてのミュータントの危険性を暴露しようとするロバート・ケリー上院議員(ブルース・デイビソン)のような人物もいた。いましも、ケリー議員の開いた公聴会で、自らもミュータントであるジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)が、ミュータントの発生の起源について、冷静に説明していた。DNAの突然変異が起きたミュータントたちは、脅威をもたらす存在ではなく、人類全体のさらなる躍進の手がかりになると彼女は力説するが、議長であるケリー議員は恐怖心をあおる反論をまくしたて、合衆国に住むすべてのミュータントに登録を義務づける「ミュータント登録法案」の必要性を主張するのだった。
この様子を傍聴席で聞いている車椅子に乗った初老の老人こそ、ジーンの師であり、最強のテレパシー能力を持つチャールズ・エグゼビア教授(パトリック・スチュワート)だった。このままでは「法案」は成立の道を進むだろうと暗い予感を覚えたエグゼビアが、廊下に出ると、そこにかつての仲間、マグニートー(イアン・マッケラン)ことエリック・レーンシャーの姿があった。人類とミュータントの共存に希望を持つエグゼビアに対し、マグニートーはミュータントが地球の新たなる支配者となるべきだと信じていた。「わたしの邪魔をするな」と言い捨てて、マグニートーは去ってゆく。





カナダのアルバータ州。雪の降る国道沿いの食堂兼バーで、一目で家出中と分かる少女が運転手たちにからまれていた。そして、ひとりの運転手が少女の体に触れたとたん、火花が散り、運転手は昏倒してしまう。彼女が助けを求めた相手、野生動物じみた男もまたミュータントで、成り行きで少女を自分の車に同乗させている。ローガン(ヒュー・ジャックマン)と名乗ったぶっきらぼうな男に、少女ローグ(アンナ・パキン)がミュータント同士の親近感を感じたのもつかの間、道に倒れていた大木に車が激突。さらに毛むくじゃらの巨漢が襲ってきた。マグニートーの手下のセイバートゥース(タイラー・メイン)である。その窮地を救ってくれたのがエグゼビア教授が派遣したサイクロップス(ジェームズ・マーズデン)とストーム(ハル・ベリー)のふたり。ローガンが意識を取り戻したのは見知らぬ場所だった。そこはエグゼビアのミュータントの子どものための学校であると同時に、エグゼビアの夢のために戦うXーメンたちの本拠地だった。エグゼビアは地下の研究所を案内しながら、マグニートーとの確執などを説明してくれるが、ローガンはさして興味を示さない。一匹狼の性分なのだ。2日間だけとどまって、なぜマグニートーが君を襲ったのか調べたいというエグゼビアの申し出を受け入れるローガン。やがて、過去の記憶を失っているローガンの武器のかぎ爪ばかりか骨格全体がアダマンチウムという幻の最強金属で覆われているのが判明する。いったい、ローガンとは何者だろうか?
一方、ケリー議員が、マグニートーの部下で側近に変身したミスティーク(レベッカ・ローミン=ステイモス)とトード(レイ・パーク)によって誘拐される。そして、マグニートーの隠れ家で、彼の巨大な機械が発生させた強力な磁場と光線によって、ケリー議員は無理やりミュータントにかえさせられてしまう。いったい、マグニートーはどんな計画をすすめようとしているのか?



 


【キャスト&スタッフ】

■ブライアン・シンガー(監督)

1968年、ニューヨーク市に生まれ、ニュージャージー州プリンストンで育ったシンガーは、13歳のときから写真が趣味となり、中学や高校の卒業アルバム、学校新聞、地元の新聞用の写真の撮影・現像を引き受けていたが、やがて映画好きがこうじて8ミリ映画を作るようになり、高校時代に20以上の作品を仕上げている。そして、ニューヨークの名門スクール・オブ・ビジュアル・アーツを卒業後、ロサンゼルスの南カリフォルニア大学(USC)のスクール・オブ・シネマ・アンド・テレビジョンに入学したころから、フィルムメイカーになりたい気持ちがにわかに強くなる。在学中に監督・脚本・編集・音響など、さまざまな仕事を担当し、実力を磨いてゆく。大学卒業後、“Lion's Den”というタイトルの卒業後に再会する高校時代の仲間の人生を追う25分の短編映画の脚本を書き、幼なじみのイーサン・ホークに主演を頼み、予算1万5000ドルのこの16ミリ映画を自ら監督する。この作品がきっかけとなり、日本の“シネマビーム”の提供でシンガーは初めての長編映画の共同脚本・製作・監督をするチャンスをつかむ。それが三ダンス映画祭で審査員グランプリに輝いた『パブリック・アクセス』(1993)であった。
そして、ガブリエル・バーン、ケビン・スペイシー、ケビン・ポラック、スティーブン・ボールドウィン、チャズ・パルミンテリらの素晴らしいキャスティングに加え、まわりの予想を裏切り、35日間の撮影期間、600万ドルの製作費とすべて予定内で完成させた第2作が『ユージュアル・サスペクツ』(1995)で、批評も絶賛され興行的にもヒットして、シンガーは脚光を浴び、アカデミー賞助演男優賞(ケビン・スペイシー)とオリジナル脚本賞(クリストファー・マッカァリー)を受賞。続く第3作は、イアン・マッケラン、ブラッド・レンフロ、ブルース・デイビソン主演、スティーブン・キング原作の『ゴールデンボーイ』(1999)で、高い評価を得て、出演者・スタッフともにいくつかの賞を受賞する。



■ヒュー・ジャックマン(ウルヴァリン)

1968年10月12日、オーストラリアのシドニーに生まれる。ジャーナリズム専攻で大学在学中、単位を楽に取れると友人から聞かされて演劇の科目を選択するが、担当教授から主役に抜擢され、アマチュア劇団の巡業公演に参加するうち、演技に目覚める。大学卒業後、演劇学校の1年間コースに通ううち、オーストラリアで最も人気の高い昼メロ番組「Neighbours」の出演交渉にあったが、それを断り、パースにあるウェスタン・オーストラリア・アカデミー・オブ・パフォーミング・アーツを選択し、さらに3年間演技を学ぶ。その卒業当日、囚人を描いたTVミニ・シリーズ「Carelli」の出演が決まる。彼の演技は絶賛を浴び、その番組で共演したスターのデボラ=リー・ファーネスと後に結婚することになる。そして、オーディションでミュージカル版「美女と野獣」の主役のガストン役を射止め、1年間のロングランでオーストラリアでトニー賞にあたるMO賞候補となる。引き続き、王立ナショナル・シアター劇団のトレバー・ナン演出の「サンセット大通り」のメルボルン公演で主役を演じ、MO賞ミュージカル部門の最優秀主演男優賞を受賞。再び、トレバー・ナン演出でロンドンのウェストエンドで上演された「オクラホマ!」のリバイバル公演ではカーリー役を演じ、本年度のオリヴィエ賞ミュージカル部門の主演男優賞にノミネートされ、公演自体、TV用に撮影されて国際エミー賞パフォーミング・アーツ部門を授賞している。
ジャックマンは、アメリカの興行主大会“ショーウェスト”に相当するオーストラリアン・ムービー・コネクション(AMC)で1999年度の“オーストラリアン・スター・オブ・ザ・イヤー”に選ばれるほど本国では絶大な人気を誇っており、TVシリーズの「Halifax f.p」の他、オーストラリア映画産業(AFI)賞の主演男優賞候補となった「Erskineville Kings」や「Paperback Hero」など数本のオーストラリアのインディペンデント映画に出演している。『X-メン』でハリウッド・デビューした彼の次回作は、この夏から撮影開始のアシュレー・ジャド共演、トニー・ゴールドウィン監督で20世紀フォックス配給の『Animal Husbandry』。



■パトリック・スチュワート(チャールズ・エグゼビア教授)

1940年7月13日、イギリスのミアフィールドに生まれる。1966年にロイヤル・シェイクスピア劇団(RSC)に入団し、翌年には準幹部団員となる(現在は名誉準幹部団員)。同劇団では、シャイロック、ヘンリー4世、タイタス・アンドロニカス、オベロン、レオンテス、タッチストーン、イノバーバスなどの役を演じている。そのうち「ベニスの商人」のシャイロック役でウェストエンド劇場協会賞候補となり、ピーター・ブルック演出の「アントニーとクレオパトラ」のイノバーバス役で同賞を受賞。また、トム・ストッパード、エドワード・ボンド、ハワード・バーカー、デビッド・ルドキンらの作になるRSCの現代劇の初演でも数多く出演している。
1991年のブロードウェイの舞台─1971年に今では伝説となったピーター・ブルック演出の「真夏の夜の夢」に出演して以来20年ぶり─となったのは、チャールズ・ディケンズの原作を自ら脚色し、40人以上もの登場人物をひとりで演じる一人芝居の「クリスマス・キャロル」で、この芝居はロンドンのオールド・ビク劇場で上演した際に、オリヴィエ賞のベスト・エンタテインメント賞を受賞し、主演男優賞にもノミネートされ、さらに1995年度のドラマ・ディスク賞のソロ・パフォーマー賞も受賞、1996年12月には独占契約でドゥーリトル劇場で上演している。ワシントンD.C.のシェイクスピア劇場で上演された「オセロ」のオセロ役で、ニューヨーク・タイムズ紙から「その極めて優れた心理描写は、人間の感情が解剖されるのを見守るごとし」と絶賛されるなど、批評家の注目を浴びたスチュワートは、シェイクスピア劇場からアメリカにおける古典劇の分野で多大な貢献をした個人に贈られる権威あるウィル賞を受けている。1995年にはシェイクスピアの名作「テンペスト」のプロスペロ役でブロードウェイの舞台で主演し、アウター・サークル批評家賞の主演男優賞にノミネートされ、昨年は、アーサー・ミラーのトニー賞候補となった新作「The Ride Down Mt.Morgan」のブロードウェイ公演で主演し、自動車事故でかつぎ込まれた病院に二人の妻がやってきてしまう重婚者の男を演じた。
TVでは、1988年から1994年にかけて放映された「新スター・トレック」のジャン=リュック・ピカード艦長役で人気を博した。この番組ではアメリカTV賞と俳優協会賞の主演男優賞候補になったほか、エミー賞に輝いた「A Fistful of Datas」など、いくつかのエピソードを演出している。TVムービーでは、幽霊役を演じた「ゴースト・スクリーム」(1997・V)、グレゴリー・ペック、ヘンリー・トーマス共演で、エイハブ船長役でエミー賞とゴールデン・グローブ賞のドラマ・シリーズ/ミニ・シリーズ部門の主演男優賞候補になった「Moby Dick」(1998)、最近では「A Christmas Carol」や19世紀半ばのメキシコ暴動最中のテキサスを舞台に「リア王」を下敷きにした「Boss Lear」、「In Search of Dr.Seuss」やMGMの歴史をたどる「MGM:When the Lion Roars」といったドキュメンタリー番組の司会を担当してもいる。本国のBBCでは、「I,Claudius」、ジョン・カレ原作の「Thinker,Tailor, Soldier,Spy」「Smily's People」など好評を博したミニシリーズに出演しているほか、「The Mozart Inquest」のサリエリ役、「オイディプス王の伝説」のオイディプス王、「悪魔の弟子」のアンダーソン牧師なども演じている。
映画デビューは1975年の『怒りの日』で、以後、『エクスカリバー』(1981)『砂の惑星』(1984)『L.A.ストーリー 恋が降る街』(1991)『テロリスト・ゲーム』『ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ』『ガンメン』(1993)『ジェネレーションズ』(1994)『ジェフリー!/愛はセックスだけじゃない』(1995)『ファースト・コンタクト』(1996)『陰謀のセオリー』『トラブルボーダー』(1997)『スター・トレック/叛乱』(1998)、ファラオ・セティの声優を演じた『プリンス・オブ・エジプト』(1999)などがある。



■イアン・マッケラン(マグニートー)

1939年5月26日、イングランド北部のバーンレイに土木技師の長男として生まれる。パブリック・スクール時代から学校劇に出演し、英文学を専攻したケンブリッジ大学でも21作の学生公演の芝居に出ている。正式な演技の訓練を受けずに、1961年にコベントリーにあるベルグレード劇場でプロの役者としてデビューを果たす。その後の3年間、いくつかの地方劇団で修行を積み、子供の頃から憧れていたタイロン・ガスリーの演出によるノッティンガム・プレイハウスのこけら落としに出演する。
初めてロンドンの舞台に立った「A Scent of Flowers」(1964)では、クラレンス・ダーウェント賞を受賞し、ローレンス・オリヴィエから彼が新たに結成したオールド・ビック劇場付きのナショナル・シアター劇団への入団の誘いを受ける。その後、各地を巡業するプロスペクト・シアターに2シーズン参加し、1989年のエジンバラ演劇祭でシェイクスピア作品のリチャード三世とクリストファー・マーロー作品のエドワード2世を演じ、喝采の嵐を呼ぶ。この2作品のロンドン公演は2シーズンに渡ってチケット完売。TV放映もされた。つづくハムレットの演技で、マッケランは“同世代で古典劇を代表する役者”として地位を確立し、1972年には民主的に運営されるアクターズ劇団を共同で設立する。
ロイヤル・シェイクスピア劇団のストラトフォード=アポン=エイボンとロンドン(1974・1978)での公演に加わり、ブレヒト、チェーホフ、イプセン、マーロー、バーナード・ショー、トム・ストッパードらの芝居に出演し、トレバー・ナンの演出で、ロミオ、マクベス、レオンテス、トビー・ベルチ、イアーゴなどの役を演じた。
ブロードウェイでは、ピーター・シェイファー作の「アマデウス」(1980・1981)のサリエリ役でトニー賞の主演男優賞をはじめ、各賞を総ナメにする。
委員会のメンバーである王立ナショナル・シアターでマッケランが出演したヒット作には「Wild Honey」「コリオレイナス」「桜の園」「批評家」「ベント」「ナポリの百万長者」「ワーニャ叔父さん」「民衆の敵」そしてフック船長/ミスター・ダーリングを演じた「ピーターパン」などがある。リチャード三世役では東京からロサンゼルスまで世界巡業し、後に製作された映画版では共同脚本・共同製作・主演を務めている。この「リチャード三世」(1995)で、彼は“ヨーロピアン・フィルム・アクター・オブ・ザ・イヤー”に選ばれ、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞候補になった。マッケランの一人芝居「Acting Shakspeare」と「A Knight Out」は、イギリス、ヨーロッパ、アメリカで公演され、収益は地元のチャリティ団体に寄付された。
1991年には演劇における功績が認められナイト爵を与えられ、サーの称号を許されたマッケランは、同世代の俳優で最も高い評価を得ており、舞台と映画の演技でこれまでに世界各国から40を超える賞を受賞している。最近も、ビル・コンドン監督の『ゴッドandモンスター』(1998)におけるハリウッドの監督ジェームズ・ホエール役の傑出した演技で、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、映画俳優協会賞を受賞し、ゴールデン・サテライト賞の主演男優賞候補にもなった。『ゴールデンボーイ』(1999)でブライアン・シンガー監督と組んでいる彼の映画出演作には、デビュー作の『Alfred the Great』(1969)以降、『ザ・キープ』(1983)『プレンティ』(1985)『スキャンダル』(1989)『ラスト・アクション・ヒーロー』『私に近い6人の他人』(1993)『シャドー』(1994)『ハリウッド・トラブル』(1994・V)『赤ちゃんにバンザイ!?』(1995・V)『恋の闇 愛の光』(1995)『ベント 墜ちた饗宴』(1997)『輝きの海』(1999)などがあり、TVムービーでは助演男優としてケーブル・エース賞を受賞し、エミー賞候補となった「運命の瞬間(とき)そしてエイズは蔓延した」(1993・V)、同じく助演男優としてゴールデン・グローブ賞を受賞し、エミー賞候補となった「ラスプーチン」(V)がある。現在撮影中のピーター・ジャクソン監督によるJ・R・R・トールキン原作の「指輪物語」3部作では、魔法使いのガンダルフを演じている。



■ジェームズ・マーズデン(サイクロップス)

1973年9月18日、オクラホマ州スティルウォーターに生まれる。母親の薦めで高校1年生のときに演劇クラスに入ったのがきっかけで、演技に目覚める。スポットライトを浴びるのがよほど性に合ったのか、「バイ・バイ・バーディ」などの学内の公演に主演するばかりか、モデルをしたり、地方局の朝のニュース番組の学生キャスターも務める。オクラホマ州立大学に入学してからも、引き続き舞台に上がっていたマーズデンは、本格的にプロの俳優を目指すようになり、車で旅支度をすませるとロサンゼルスに向かった。そして、2か月もしないうちに、さまざまなTV番組でコンスタントに出演するようになった。TVの代表作には、高視聴率をあげた主演のミニシリーズ「ベラ・マフィア/ファミリーの女たち」(1997・V短縮版)、家族向けのドラマ・シリーズ「Second Noah」、フォックスTVのヒットシリーズ「サンフランシスコの空の下」(1994〜)のグリフィン役でもよく知られている。
映画出演作には、HBOの劇場映画『FBIファイル第一級指定/パブリック・エネミー』(1995)でドク・バーカー役を演じた他、ニック・スタール、ケイティ・ホームズと共演したMGMのスリラー『洗脳』(1998・V)、ノーマン・リーダス、ケイト・ハドソン共演、デイビス・グッゲンハイム監督の『Gossip』、ミーナ・スバーリ、マーレー・シェルトン共演、フランシス・マクドゥーガル監督のコメディ『Sugar Spice』などがある。



■ハル・ベリー(ストーム)

1968年8月14日、オハイオ州クリーブランドに白人の母と黒人の父との間に生まれる。4歳のときに父が別居してから、看護婦の母親に育てられる。1984年にミス・ティーン・オハイオに、1986年に準ミス・アメリカに選ばれたベリーは、TVのコメディ番組に出演した後、サミュエル・L・ジャクソンと共演したスパイク・リー監督の『ジャングル・フィーバー』(1991)で映画デビューを果たす。その後、ブルース・ウィリスと共演の『ラスト・ボーイスカウト』(1991)、エディ・マーフィーの相手役を務め、彼女が全米黒人地位向上協会(NAACP)のイメージ賞候補、ハリウッド女性記者クラブの新人賞候補となったレジナルド・ハドリン監督の『ブーメラン』(1992)、ブライアン・レバント監督の大ヒット作『フリントストーン/モダン石器時代』(1994)、ジェシカ・ラングと共演したスティーブン・ギルレンホール監督の『代理人』(1995・V)、ブロックバスター賞アクション・ドラマ部門で主演女優賞を受賞したスチュワート・ベアード監督の『エグゼクティブ・デシジョン』(1996)、ジェームズ・ベルーシ主演のスポーツ青春ドラマ『レース・ザ・サン』(1996・V)、エイミー・ホールデン・ジョーンズ監督のサイコ・サスペンス『潜在殺意』(1996・V)、ウォーレン・ビーティ監督の政治コメディ『ブルワース』(1998)、50年代のロックンローラーのフランキー・ライモンの伝記映画『Why Do Fools in Love』(1998)などがある。TVでは、アレックス・ヘイリーの「ルーツ」の続編を原作にしたミニシリーズ「Queen」でクイーン・ジャクソン役を演じ、NAACPイメージ賞、ハリウッド女性記者クラブ新人賞を受賞。他にミニシリーズの「Oprah Winfrey Pressents:The Wedding」やTVムービー「Solomon and Sheba」、ごく最近の製作総指揮・主演を務めてゴールデン・グローブ賞、映画俳優協会賞、それに主演3人にNAACPイメージ賞が贈られ、“エンタテイナー・オブ・ザ・イヤー”まで受賞した「Introducing Dorothy Dandridge」がある。
1998年には女優としての功績が認められ、ハーバード大学のハーバード財団から“カルチュラル・アーチスト・オブ・ザ・イヤー”の栄誉を受けている。最近では「ピープル」誌の“世界で最も美しい50人”のひとりに選出され、化粧品メーカーのレブロン社の国際スポークスパーソンの仕事も続けている。



■アンナ・パキン(ローグ)

1982年7月24日、ニュージーランドのウェリントンに、体育教師の3番目の末っ子として生まれる。兄も姉も運動と音楽に秀でていたが、彼女は特別なレッスンも受けず、ごく普通の少女として育てられる。ある日、姉の友人から映画の新人オーディションの話を聞いて応募したところ、5000人の中から選ばれて、ジェーン・カンピオン監督の『ピアノ・レッスン』(1993)で映画デビュー。
ホリー・ハンター、サム・ニール、ハーベイ・カイテルと共演したこの作品で、11歳という史上2番目の若さでアカデミー賞助演女優賞を受賞。その後の出演作には、キャロル・バラード監督の『グース』(1996)、フランコ・ゼフィレッリ監督の『ジェイン・エア』(1996)、スピルバーグ監督の『アミスタッド』(1997)、アンソニー・ドラゼン監督の『Hurlyburly』(1998)、トニー・ゴールドウィン監督の『A walk on the Moon』(1999)、ロバート・イスコーブ監督の『シーズ・オール・ザット』(2000)があり、新作にビリー・クラダップ共演、キャメロン・クロウ監督のタイトル未定作、ガス・バン・サント監督の『Finding Forrester』が控えている。
TVムービーでは、ハリウッド進出作となるカーソン・マッカラーズの1946年の小説を再映像化したフィールダー・クック監督の「The Member of the Wedding」(1997)がある。